2009年12月2日

PROTO TYPE ARCHIVE Vol.2 SUCCUBUS PROTO

QUAMEN初となるMTBであるE-moが独特の乗り味と優れた運動性能でマーケットに好意的に迎えられたのを受け、それらの優れた性能を山の中のトレールでも発揮させるべく開発を開始したのが、後にSUCCUBUSと命名される事になる、このバイクでした。

スキルフルなライダーによる、限られたシチュエーションで最高の性能を発揮させる事を対象に開発されたE-moとは違い、あらゆるレベルのライダー、あらゆるシチュエーションの山岳トレールでの使用を前提として開発が進められた為、アメリカ本国のテストライダーがテストをするのと同時進行で日本でも開発すべく一本のプロトタイプフレームが送られて来、私も開発の一環を担う事になりました。
もちろん、いろんなスキルレベルのライダーの意見の汲み上げや、日本のトレール環境でのテストが目的でした。



 

届けられたフレームはミッルスペックのAISI4130クロモリ鋼のチュービングにCNCで切削されたアルミ製大型エンドという構成はE-moと同じでしたが、パールホワイトの塗装も相まって、若干大柄な印象でした。
特にアルミエンドはE-moとは完全な別設計で、大胆に肉抜きされて軽量化を図っていました。またプロトタイプゆえ切削されたままの状態で、非常に綺麗な切削痕でした。切削痕マニアなら涎ダラダラ(笑)?

最初に山に持って行き、走らせてみた感想は、非常にしなやかな乗り心地で路面の凹凸に進路を乱されることが無く、快適に走らせる事が出来る、という印象でした。

私も、仕事とかこつけて機会があれば山へ走りに行っていました。
また、富士見パノラマリゾートで開催された第一回MTBファンミーティングにも持参しましたので、その時にご覧になった方もいらっしゃるかと思います。

私が本国へ要望したのは、若干大振りな車体サイズの見直しと、スタンドオーバーハイトの見直しといった程度のものでした。



畳の部屋なのは気にしないでください(笑)

その後、アメリカ本社サイドではBMXのストリートライダー達がこぞって山へ持って出かけ、路面のギャップを使ってジャンプしたり、壁に当て込んで技を繰り出したりするような開発を進め、最終的に出来上がったのがこの黄色いプロトでした。



ライダー達の要望を元にシートチューブが短くなり、それに応えるようにトップチューブの位置も下がった為、足元の余裕が生まれ、技を入れやすくなるとともに、シャープなルックスも手に入れることができました。

ほぼこのままの形で発売されたのが初代SUCCUBUSです。
SUCCUBUSの開発コンセプトは、山のトレールを走りながら、ただ漠然と走るだけではなく、いろんなアトラクションを自分で見つけて飛んだり跳ねたりしながら楽しむ為のバイク、と言う事です。

是非、そんな感じで楽しんじゃってください。